カノンの海外ドラマ漂流記

気ままな海外ドラマ中心のブログです。ネタバレ記事中心です。

2020年ウィンブルドンの英断を知り、映画「ボルグ/マッケンロー」でさらに胸がアツくなりました

新型コロナの影響で中止となったテニス、ウィンブルドン選手権報道によると主催のオールイングランド・ローンテニスクラブは、出場予定だった620選手に賞金総額1000万ポンド(約13億5000万円)を分配すると発表したそうです。

厳しい状況の現在、さすがの対応だと思いました。これを機会に、見逃していた2017年の映画「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」(Borg vs McEnroe)を視聴しました。現在 hulu、amazon prime video で配信中です。公式サイト

 

下は2017年9月、ストックホルムのプレミアでのお写真。1枚目の両脇に主演の二人、そして真ん中、白いFILAのジャケットが現在のビヨン・ボルグ(Björn Borg)様ご本人です!

 
 
 
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史上屈指の名勝負、1980年の決勝を映画化

ウィンブルドン5連覇がかかったボルグに悪童と呼ばれたジョン・マッケンローが挑みます。左が当時のボルグ&マッケンロー、右が映画の二人です。最初は髪型以外あまり似てないじゃん、と思いましたが、観続けるうちに吹っ飛びました。とても誠実で良い映画です。当時を知る人はもちろん、まったく知らない世代にもぜひおすすめしたいです!

 

性格もプレースタイルも正反対の二人。↓あ、でもマッケンローは1959年生まれですね・・・

それぞれの思いを通してウィンブルドンまでの道が描かれ、後半は圧巻の試合シーンが続きます。最後は4時間近いフルセットの決勝戦です。

氷のように冷静なボルグがもとは感情を抑えきれない鬱屈した少年時代を過ごしたこと、口の悪さで有名なマッケンローはおだやかな家庭で育ち、真面目さゆえに他人の手抜きが許せないことなどが描かれました。

 

メインの登場人物は4人です

Sverrir Gudnason in Nov 2014

↑全英5連覇、全仏で4連覇を含む6度の優勝をとげたレジェンド、ビヨン・ボルグ役はスウェーデンスヴェリル・グドナソン(Sverrir Gudnason)。1978年、スウェーデンアイスランド人両親のもとに生まれ、アイスランド、後にスウェーデンで育つ。2018年の映画「蜘蛛の巣を払う女」にも出演の注目俳優。

Shia Labeouf 2014

↑全英で3度、全米4度シングルス優勝、ジョン・マッケンローに、「トランスフォーマー」シリーズなどのシャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)! 自ら出演を希望したそうです。

Stellan Skarsgård 2009

↑ボルグのコーチ、レナート・ベルゲリン役にスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルト(Stellan Skarsgard)。ジュニア時代から引退までボルグを指導しました。

Tuva Novotny

↑ボルグの婚約者でルーマニア出身のテニスプレイヤー、マリアナ・シミオネスクスウェーデン出身のツヴァ・ノボトニー(Tuva Novotny)。2020年の映画「Exit Plan」でニコライ・コスター=ワルドーと共演。主にスウェーデンの映画・ドラマで活躍しています。マリアナとボルグは後に結婚・離婚をすることになりますが、レナートとともにボルグを支えます。

 

さらに、弁護士であるマッケンローの父にイアン・ブラックマン。いろんなドラマで拝見する西田敏行似(私見です)のベテランさん。マッケンローは父を信頼し、認められたくて得意科目やテニスを頑張りました。父も決勝戦まで残り、見守ります。

 

この他、ジミー・コナーズアーサー・アッシュ、ピーター・フレミング、ビタス・ゲルレイティス役なども。有名なスポーツキャスターやジャーナリスト役も登場しました。 メインの二人は数か月にわたってテニスのトレーニングを積んだそうです。

 

私は実はエドバーグ世代なのですが、ボルグ×マッケンローの映像は断片的にですが覚えています。日本での試合のことは覚えています。そして超過密スケジュールから、ボルグがあまりにも早く引退してしまった記憶が・・・。

 

 トップの孤独と強靭さに胸が痛くなりました

ウィンブルドン公式の投稿です。歴史的な一戦でした。まさに新しい次元に突入した試合だったのですね。当時を知るうえで避けられない“事件”でもあると思います。

 

スーパースター、ボルグはスポンサーや報道陣のために過酷な転戦・プロモーション活動を行うことになります。飛行機が着いた場所がどこかも今が何時かも分からない状態。70年代NYのスタジオ54のパーティにも参加していました。

 
 
 
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淡々と仕事をこなしているようでいて、緊張と疲労のためストレスをためこんでしまいます。演じるスヴェリル・グドナソンは、温和で優しい眼差しなのにどこか遠くにいるようなトム・ヒドルストン的な(私見です)つかみどころのなさが魅力でした。

 

実力は申し分ないのに短気でキレやすく、地元クラブがもてあましていた少年時代のボルグ。なんと数年前にプロツアーに参加し始めた実の息子、レオ・ボルグが演じています。端正で可愛いのなんの! 母上は確か元モデルさんでしたね。

スポーツマンシップに反しているボルグ少年について、クラブの偉い人が母親に言うんです。「テニスはサッカーやホッケーとは違い、勝ち方を重んじる。すべての階級に適したスポーツとはいえない」ひどいわ・・・。

でも才能を認めたレナートが指導することになりました。レオ君から少し育ったボルグは俳優さんにタッチ。デビスカップ監督だったレナートが、代表入りの条件を提示します。「キレないと約束しろ。圧力釜のように沸き立つ感情を抑えつけろ。怒り、恐れ、混乱のすべてを一打に叩き込むことだ。5セットじゃない、1ポイントに集中しろ。短気を起こして態度にでたら君は終わりだ」

 

デ杯初戦前には緊張から嘔吐したボルグですが、ここでランキング20位に勝って以来、冷静沈着で精密機械のようなプレースタイルで快進撃をすることになるのです。

 

 
 
 
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一方のマッケンローは期待の新星ですが、記者会見で聞かれるのは暴言や態度のことばかり、TVのインタビューでもボルグのことばかり聞かれ、自分のテニスの話ができないとうんざりしています。

 

子供時代のマッケンローの憧れはボルグでした。恵まれた少年時代で、家族の期待にこたえようと努力していました。

ウィンブルドンに来て、友人であるゲルレイティスが言います「ボルグは氷山だといわれているが、実際は噴火直前の火山だ」

どんなに調子が悪くても黙々とプレーして勝ち抜くボルグを見て「あんなふうになりたかった」と語るマッケンローが寂しげでした。思い通りのプレーができない自分に腹を立て、間違った判断をする審判に真剣に怒っていたのでしょう。今のマッケンローを見ても思いますが、どんな暴言・毒舌でも憎めない人ですよね。

 

試合後、親友になった二人のストーリー

ストレスから恋人を遠ざけ、一度はコーチを解任するボルグ。マリアナとレナートは飲みながらボルグのことを話します。半分あきらめ顔のレナートにマリアナが「転落を見たくないのね」というシーンは、その後を知っているだけに苦しかった。そうでなくてもピークの後は下るだけですから。

 

今回調べて知ったのですが、これまでウィンブルドンの最高は6連覇。ただし、チャンピオンは1戦だけでいいルールだった19世紀のことです(1877年から始まってます)。5連覇は実質最高の記録で、過酷なトーナメントスケジュールが課せられていた当時のこと。その後、ボルグの引退などを受けてATPランキングのスケジュールを含む規則は改正されました。現在のルールのもと5連覇を達成したのは、もう一人フェデラーだけです。

↑コメント付きの予告動画をウィンブルドン公式より。

 

1980年の決勝は5セット3時間55分でした。一進一退が続き、第4セットは22分のタイブレーク18-16でマッケンロー! 7回のチャンピオンシップポイントを落としたボルグですが、そんなショックは無かったかのように立ち直り、ファイナルセットをデュースから奪い返して優勝します。結果が分かっていても心拍数上がりました・・・。

つくづく、孤独をはね返すメンタルの強さにトップアスリートの偉大さに感服しますね。自分のプレーをしろと言ってくれたボルグに応え、マッケンローは暴言を封印。ジャッジが間違っても無視してプレーを続けます。

テニスだけに集中する二人の姿は忘れられません。

 

映画全体を通して余計な説明やわざとらしい音楽はなく、ストイックな緊迫感が試合へつながったと思います。監督のヤヌス・メッツドキュメンタリー映画アルマジロ」で高い評価を得、ドラマ「TRUE DETECTIVE」「ZeroZeroZero」などに監督として参加したそうです。ボルグ&マッケンローのウエアやディアドラ、ナイキのシューズ、もちろんラケットも再現。見どころ満載です。空港でマッケンローがヘッドホンをしていましたが、前年に発売されたウォークマンですよね、きっと。

 

ボルグは疲弊しきって燃え尽き、翌年26歳で引退を発表します。その後は事業の失敗が続くなど波乱万丈の人生となりましたが、マッケンローとの友情は変わらず、結婚式の付添人をつとめるなどしました。最後に、二人の関係が当時のたくさんの写真とともに紹介されるのが嬉しい!

 

いっしょにエキシビジョンに参加したりシニアツアーをまわったり、今は楽し気にプレーする二人の姿をよく見ますね。腕を振り回してのマッケンローの抗議もボルグのトップスピンも当時のまま。見つめ合ったり笑い合ったり、白髪になってからのボルグ&マッケンローはとても幸せそうで仲の良さが伝わってきます。

1980年当時の自分のアレコレを思い出すと同時に、信頼できる友人がいれば年をとってもきっと幸せだ! と思ってしまいました。

 
 
 
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ウィンブルドンのセンターコート(2007年)

ウィンブルドンセンターコート(2007年)